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【徹底検証】ラクトフェリンが内臓脂肪に効果がある理由とは?│ケフラン

2022.6.08

さまざまな健康リスクの要因となる内臓脂肪。健康のためには、体重の数値だけではなく内臓脂肪の蓄積にも注意したいものです。

そんな内臓脂肪ですが、近年の研究によって牛乳や人の母乳に含まれる『ラクトフェリン』と呼ばれる物質に、内臓脂肪を減少させる働きがあることが分かっています。

この記事では、ラクトフェリンの効果や内臓脂肪へはたらきかけるメカニズムについて解説していきます。

ラクトフェリンの効果とは?

ラクトフェリンは、乳由来の多機能性タンパク質です。

もともと、ビフィズス菌の増殖や鉄吸収の調節、抗酸化・抗炎症作用などの機能が知られているラクトフェリンですが、近年、内臓脂肪を減少させるはたらきがあることが発見されました。

ある実験において、肥満の方に腸溶性ラクトフェリン300mg を8週間摂取させたところ、体重、BMI、内臓脂肪面積の低下が認められたのです。実験結果より、ラクトフェリンには内蔵脂肪を減らすはたらきがあると考えられています。

ラクトフェリンで内臓脂肪が減らせる理由は?

では、どうして乳由来のタンパク質であるラクトフェリンによって内臓脂肪が減らせるのか解説します。

糖質や脂質は、体の中でグルコースや脂肪酸と呼ばれる物質に変化します。グルコースや脂肪酸が過剰になってしまうと、脂肪細胞として合成され、体に蓄積されるのです。

蓄積された脂肪細胞は、エネルギーが足りない時には脂肪を分解する酵素であるリパーゼのはたらきによって、脂肪酸とグリセロールに分解されて全身にエネルギーを運びます。

脂肪の合成量と分解量によって内臓脂肪の量が決まり、合成量が分解量を上回ると内臓脂肪の量が増え、反対に合成量が分解量を下回ると内臓脂肪量が減少します。

ラクトフェリンには、脂肪合成の抑制と脂肪の分解促進の両方にはたらきかけるため、内臓脂肪が減らせるのです。

脂肪合成抑制のはたらき

ラクトフェリンには、脂肪合成にはたらく酵素に関わる遺伝子が発現するのを抑えるはたらきや、脂肪細胞を増やす物質を抑えるはたらきがあると分かっています。

脂肪分解促進のはたらき

近年の実験において、脂肪細胞にラクトフェリンを添加する量が多くなるほど、脂肪の分解物であるグリセロールの生成量が増えることが分かり、ラクトフェリンが脂肪分解を促進することが確認されました。

さらに、ラクトフェリンによって脂肪が分解されやすくするはたらきがあることが分かっています。

脂肪は、簡単に分解されないようにペリリピンと呼ばれる物質でコーティングされているのです。

ラクトフェリンには、ペリリピンの遺伝子の発現を抑えて、量を減らすはたらきがあります。そのため、ペリリピンが減少することで脂肪のコーティング力が弱まり、脂肪の分解を促すリパーゼが脂肪に届きやすくなるのです。

ラクトフェリンを補うポイント

内臓脂肪を減らす目的でラクトフェリンを摂取する場合は、ラクトフェリンが胃で分解されずに腸まで成分が届くように加工された機能性のある商品を選びましょう。

ラクトフェリンは牛乳に含まれる成分ですが、残念ながら熱に弱く、さらに胃の消化酵素によって働きが失われます。つまり、熱殺菌された市販の牛乳や乳製品にはほどんど含まれていません。

そのため、ラクトフェリンを配合したサプリを活用するほか、ヨーグルトから補う場合はラクトフェリンヨーグルトを選ぶと良いでしょう。ラクトフェリンを機能性関与成分とした機能性表示食品もおすすめです。

まとめ

以前より抗菌作用や腸内環境、鉄吸収調節などのはたらきが知られていたラクトフェリンには、脂肪の合成抑制と分解促進によって内臓脂肪を減らすはたらきが期待されています。

内臓脂肪対策は、エネルギーの摂取量と消費量のバランスを保つことが重要です。生活習慣の改善を基本としつつ、ラクトフェリンを補うと良いでしょう。

管理栄養士プロフィール:渡部 早紗

大学卒業後、病院、学校給食の管理栄養士として従事。現在はフリーランスの管理栄養士として、主に栄養に関するコンテンツ記事執筆を中心に行っています。

参考URL

内臓脂肪型肥満【厚生労働省 e-ヘルスネット】
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-051.html

ラクトフェリン 【公益財団法人 腸内細菌学会】
https://bifidus-fund.jp/keyword/kw017.shtml

ラクトフェリンとは【日本ラクトフェリン学会】
http://lactoferrin.jp/about.htm

ラクトフェリンによる脂質代謝の制御【小野知二、村越倫明】
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/49/1/49_1_15/_pdf/-char/ja

Bovine lactoferrin reduces visceral fat and liver triglycerides in ICR mice.
Morishita S, Ono T, Fujisaki C, Ishihara Y, Murakoshi M, Kato H, Hosokawa M, Miyashita K, Sugiyama K, Nishino H.J Oleo Sci. 2013;62(2):97-103. doi: 10.5650/jos.62.97.(2013)
PMID: 23391533
Effects of pepsin and trypsin on the anti-adipogenic action of lactoferrin against pre-adipocytes derived from rat mesenteric fat
Tomoji Ono 1, Satoru Morishita, Chikako Fujisaki, Motoyasu Ohdera, Michiaki Murakoshi, Norio Iida, Hisanori Kato, Kazuo Miyashita, Masaaki Iigo, Toshihide Yoshida, Keikichi Sugiyama, Hoyoku Nishino Affiliations expand(2011) PMID: 2085469

Potent anti-obesity effect of enteric-coated lactoferrin: decrease in visceral fat accumulation in Japanese men and women with abdominal obesity after 8-week administration of enteric-coated lactoferrin tablets Tomoji Ono , Michiaki Murakoshi, Noriyuki Suzuki, Norio Iida, Motoyasu Ohdera, Masaaki Iigo, Toshihide Yoshida, Keikichi Sugiyama, Hoyoku Nishino(2010)PMID: 20691130

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