ケフラン

COLUMN コラム

【管理栄養士が徹底解説】今話題のラクトフェリン!その効果や摂り方は?│ケフラン

2022.5.23

様々な健康効果が期待されているラクトフェリン。近年ではサプリメントだけではなく、ラクトフェリン入りヨーグルト、粉ミルクなど多様な商品が開発されています。ラクトフェリンって?どんな効果があるの?ラクトフェリンに関する疑問を管理栄養士が解説します。

ラクトフェリンとは?

ラクトフェリンは1939年にデンマークの科学者によって牛乳から発見されました。鉄と結合しやすい性質があることから、成分名は、「ラクト=ミルク、フェリン=鉄」に由来して名付けられたといわれています。
ラクトフェリンは、赤ちゃんの体を守るために主にほ乳類の乳汁に含まれている糖タンパク質です。また、唾液や涙、粘液、胆汁などの体液にも見られますが、ヒトの母乳、特に初乳に多く含まれています。(1,2)

ラクトフェリンの効果

これまでの研究によって、ラクトフェリンのさまざまな生理機能が明らかになっています。

  • 抗菌作用
  • 腸内環境への効果
  • 抗ウイルス作用
  • 鉄吸収調節作用
  • 免疫調節作用

ラクトフェリンの抗菌効果

ラクトフェリンは、胃潰瘍や胃ガンの原因となる「ヘリコバクター・ピロリ菌」に対して抗菌作用を持っていることがわかっています。
ピロリ菌感染患者へ治療薬とともにラクトフェリンを1日400mg摂取させたところ、ピロリ菌の除菌率が向上していたという研究結果から、ラクトフェリンの摂取がピロリ菌の除菌に役立つと考えられています。(3)

ラクトフェリンの腸内環境への効果

免疫と深く関わりのある腸。免疫力を整えるためには、「プロバイオティクス(善玉菌)」と「プレバイオティクス(善玉菌のエサ)」を組み合わせて摂る「シンバイオティクス」が効率よく腸内環境を整えてくれることが明らかになっています。
抗菌効果のあるラクトフェリンですが、腸内の善玉菌であるビフィズス菌に対しては抗菌作用を示さず、むしろ増やす効果を示すことがわかっています。そのため、腸内細菌のバランスを整える「プレバイオティクス」として作用してくれます。

ラクトフェリンの抗ウイルス・免疫調節への効果

ラクトフェリンはNK細胞、T細胞、B細胞などの免疫細胞を活性化する効果への可能性も期待されています。特に赤ちゃんではラクトフェリンを含む調製乳や母乳で気道感染関連疾患の発症率、鼻水、咳、喘鳴、下痢の発生リスク低下などの予防効果が認められています。

また、大人に対しても風邪にかかりやすい方がラクトフェリン・乳清タンパク質含有カプセルを摂取したところ風邪の発症率が低下したという研究報告もあります。

新型コロナウイルスやインフルエンザなどに対する予防効果が検討されていますが、現時点では、ウイルス性呼吸器疾患に対しての十分な情報は見当たりません。しかしながら、最近の研究では冬に流行しやすいノロウイルスなどの急性胃腸症状がラクトフェリンの摂取によって抑制される可能性があることが示唆されています。(4-7)

ラクトフェリンに副作用はあるの?

ラクトフェリンは通常の食品に含まれている量であれば安全です。
また、ラクトフェリンは栄養補助食品としてアメリカ食品医薬品局(FDA)および欧州食品安全機関(EFSA)でも承認されています。

ただし、過剰摂取による下痢や皮疹、食欲不振などが報告されています。特に妊娠中・授乳中は、過剰摂取の際の安全性に関して情報が十分でないため、サプリメント等で摂取する場合、記載された1日の用量を守って、適切に摂取するようにしましょう 。(8)

ラクトフェリンを効率的に摂取するなら

ラクトフェリンは熱に弱いため、加熱処理されている市販の牛乳や乳製品にはほとんど含まれていません。また、酸や酵素に分解されやすいため胃で消化されやすく、腸まで届くことが難しいことがわかっています。効率的に取り入れたいならラクトフェリン配合の機能性食品やサプリメントで摂取するのがおすすめです。

まとめ

近年話題になっているラクトフェリンは、様々な研究によって抗菌作用だけでなく腸内環境を改善するなど様々な健康機能が発見されました。赤ちゃんだけではなく、大人へのメリットも見逃せません。健康を維持・増進する作用が期待されるラクトフェリンに今後も注目が集まります。

管理栄養士プロフィール:高城 紗織

大学卒業後、大学助手・行政管理栄養士として勤務。現在はフリーランスとして記事執筆・監修及びライティング指導、オンライン栄養指導、ヘルスケア事業へのコンサルティングなどを行う。

https://linktr.ee/saotksr

参考URL

(1)ラクトフェリン|公益財団法人 腸内細菌学会
https://bifidus-fund.jp/keyword/kw017.shtml (2022.4.25閲覧)

(2)ラクトフェリンとは|日本ラクトフェリン学会
http://lactoferrin.jp/about.html (2022.4.25閲覧)

(3)Sachdeva, Aarti et al. “Efficacy of fermented milk and whey proteins in Helicobacter pylori eradication: a review.” World journal of gastroenterology vol. 20,3 (2014)

(4)Chen, Ke et al. “Effect of bovine lactoferrin from iron-fortified formulas on diarrhea and respiratory tract infections of weaned infants in a randomized controlled trial.” Nutrition (Burbank, Los Angeles County, Calif.) vol. 32,2 (2016)

(5)Vitetta, Luis et al. “The clinical efficacy of a bovine lactoferrin/whey protein Ig-rich fraction (Lf/IgF) for the common cold: a double blind randomized study.” Complementary therapies in medicine vol. 21,3 (2013)

(6)ラクトフェリン|国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所「健康食品の安全性・有効性情報」
https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail10.htm
https://hfnet.nibiohn.go.jp/notes/detail.php?no=2153 (2022.4.25閲覧)

(7)Mizuki, Masaru et al. “Effects of Lactoferrin on Prevention of Acute Gastrointestinal Symptoms in Winter: A Randomized, Double-Blinded, Placebo-Controlled Trial for Staff of Kindergartens and Nursery Schools in Japan.” International journal of environmental research and public health vol. 17,24 9582. 21 Dec. 2020

(8) 欧州食品安全機関
https://efsa.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.2903/j.efsa.2012.2701(2022.4.25閲覧)

ページトップへ戻る